永遠の【仮】〜勇氣凛々海の色〜

水中に目覚めた、水どう好きな道産子の日常。

みっちょんと金の祝辞

昨日は、高校の合格発表でした。

あ、いえ、もちろん、ワタシのではなく、宮古島では、という意味です。

島全体がお祝いモード突入で、飲食店の半分はお休み。

合格者の出たお宅では、お祝いの宴の準備で大わらわ。

仕出し業なども、大忙し。

スーパーのお惣菜コーナーも一氣にオードブルを出し始め、お弁当屋さんは表に『合格祝い・卒業祝い』なんて幟を立てます。

毎度お世話になっている居酒屋さんで身体のメンテナンスをお願いされ、そちらに伺い、施術の後、いつもの流れでお料理をいただいてました。

「これから、友達の子供の合格祝いに行く」と、熨斗袋をチラリ。

「一緒に行く?」と言われ、「いやいやいや、ワタシ、何も用意してません!」と手をフリフリ。

どこぞに電話をかけているなぁと思ったら、「1人、オブザーバーを連れていくから」と。

オ、オブザーバー?!

な、なんだ、どういうことだ?!何が起きてるんだ?!

キョドるワタシを尻目に、居酒屋さんの大将と以前素潜り漁に連れて行ってくれた2人はグイグイ泡盛を飲んでいます。

「そこのお宅は歩いて行ける距離なんですか?」と聞くと、軽く首を横にフリフリ。

「みっちょん、免許持ってるな?」

そう、宮古島に来てから知り合った方々のほとんどが、ワタシをみっちょんと呼んでくれるようになりました。

親しみを込めていただけて、とんでも嬉しいんですが、この時だけは「…?」。

ちょっと待って…オブザーバー免許…グイグイ泡盛免許…

…え?!免許?!


「そろそろ行くか」という空氣に激しく動揺。

「あの…ワタシ…免許は辛うじて持ってるんですが、免許取得時から一度も運転した事ない筋金入りのペーパーです!!」と宣言。

かぁーー…と情けないモノを見るように首を捻って、「素潜りだけじゃなく、運転も教えなきゃダメか…まあ、どのみち俺たち飲んでしまってるからな」

し、しまってるからな…って、あなた達を乗せるんですか?!ワタシ?!

ちょ、ちょっと待てちょっと待て、落ち着こう、落ち着こう。

今から、ワタシは、この人達を乗せて、乗ったこともない車で、どこかへ運転して行く…。

OK、整理した。

そして、整理し終わった時には運転席でした。

「ぶつけても良いから」と、ケロリと言われ、いやいやいやいや、そういう問題じゃない氣がする。

いや、ホント。

しかも、かつて教習でも乗ったことのないタイプの車。

レバー関係がハンドル回りに全集合してる感じの、かつ、6〜7人乗れるサイズの。

確かに、いつかは運転する時が来ると思ってました。

島の生活では必需品と言えるであろう代物です。

でも、ワタシの中で、こんな急にその機会が降ってくるとは思わず。

ワタシはマニュアル免許だったので、オートマは2回くらいしか乗ったことがなく、当然ですが、ブレーキのかかり方が全然違うんです。

車種だけでなく、そもそもが違う。

まあ、そんな言い訳はさておき、「はい、左行ってー」と助手席から言われるままに手汗ペトペトさせながらハンドル握って。

内心、叫び声を上げながら、超スローにドライブ。

教習時にも教官に「スピードを怖がり過ぎ」と言われまくりでしたが、たぶん40キロ出てない時間の方が多い超スロードライブ。

そうして、何とか目的のお宅へ到着。

そちらの次男君が進学校に受かった祝いの席です。

全く無関係のワタシが上がり込んでいいものなのかと戸惑いながらついて行くと、既にできあがった感の大人たちが大勢いました。

呼び出される度に主役である次男君が部屋から出てきては、お祝いにペコンペコンと頭を下げて照れくさそうにしていました。

そして、オトーリ発動

オトーリとは、宮古島特有のまわし飲みです。

一つのグラスに泡盛を注いで、口上を述べ場の人々に注ぎ回りをしていくのです。

注がれた人は飲み終わったグラスをテーブルなどには置かず、そのまま返杯します。

特別に長くしたテーブルの上は握り寿司やオードブル、ゴーヤの和え物などでビッチリ。

座るとすぐにその家の奥様がお刺身と中身汁(モツの入ったお味噌汁)を出してくれました。

初の中身汁でしたが、とても美味しかったです。

さあ食え、やれ食えとすすめてくれるのですが、先の居酒屋さんでもお料理をいただいてきてるのでなかなか箸が進まず。

「食べないと、こんな生物なんか処分することになっちゃうんだから、みっちょん、食え」

これは所謂アレですね、先輩が後輩に「お前、若いんだから食え」ってヤツですね。

若しくは、おじいちゃんおばあちゃんの家に行くと次から次へと食べ物を出される終わらないループ現象ですね。


でも、ゴメンナサイ…みっちょん…そんなに若くない…食べられない…。

何周したのかもわからないオトーリ、次から次へと参上する祝い人たち、オジサマ達の話に相槌を打つ次男君。

オトーリの度に述べられる祝いの口上。

パッと見、主役そっちのけで集まったオジサマ達がワイワイ飲んでるだけにも思えるんですが、オジサマ達に絡まれながらもちゃんと相槌を打っている次男君や長男君を見ていたら、都心部じゃ見れない場面だなぁ…と。

地域の大人がみんなで子どもを育てる…そんな理想的なものが見えた氣がしました。

「子どもは宝だ!なあ!みんなで、なあ!!」と、言っている人がいました。


そこに、ちゃんとリアリティがあって、子ども側がそれを煙たがるような顔をしないこと。

良い席に同席させてもらって、「今度、車じゃない時は飲もうね〜!」って言ってもらって…。

お腹いっぱいパンパカパン。

美味しかったぁ…で終われるわけもなく。



…運転しなくちゃ、帰れない。

というわけで、再び手汗ペトペトさせながらハンドル握って、なんとかかんとか車を元の場所へ戻し、乗せた人々にも支障なく。

いや、もう、ホント…緊張し過ぎて死ぬかと思った…