とある海人とお話している時、彼らが着けているアクセサリーの話題になり、それはヘンプ(麻)で磨いた貝殻を包み編みしたようなのだったり、サメの歯を加工したものだったり。
実は、ワタシもヘンプに限らず刺繍糸やジュート、革紐などを編んだアクセサリーや雑貨を作ります。
そんな中、「うちの嫁が山伏の家系で、法螺貝を吹く行事みたいなのがあるんだけど、その法螺貝を斜め掛けにぶら下げたい」と。
山伏の家系?!
法螺貝を吹く行事?!
もう、いきなり飛び道具ですか的な無茶振り来ました。
ウソをつく事を「法螺吹き」などと言いますが、調べてみると法螺貝の音が思いのほか大きいことから、できもしない事を得意だと言ってみたり、1を10としてみたり…と「話を盛り過ぎ」てしまう事なんだとか。
山伏は、山に入る際に法螺貝を吹いて獣避けや、他の山伏に居場所を知らせるほか、宗教的な理由もあるらしく、日本以外でも法螺貝を吹く国はいくつかあるみたいです。
実際にちゃんと音を出すのは、なかなかに難しいようですが。
…で、実際に件の法螺貝を見せていただきました。
法螺貝って美味しいのかな…などと考えつつ、クルンとしてみます。
吹き口加工済み。
てなわけで、何氣ない会話から手仕事をひとつ承り。
しかしですね、法螺貝を編んだ経験は皆無ですから、用意する麻紐の長さも手探り。
毛糸と違って《紐を足す》というのは原則やりません。
長過ぎれば余るだけですが、短ければイチからやり直し。
とりあえず、本体できあがり。
ここからは、斜め掛けするためのストラップ部分。
過去最高の長さの紐と大格闘。
1本の麻紐の長さを、計算式で13メートルほどと算出。
それを6本作りました。
切るだけで部屋中を使う大騒ぎ。(1人で)
その中心部から編み始めるので、今度は中心部を見つけるために7.5メートルあたりを計ります。(1人で)
あまりに長過ぎるため紐の先端をくぐらせる系の編み方は却下。
鳳尾結という編み方を6本取りで。
もちょもちょ、じみじみ、もちょもちょ、じみじみと繰り返すこと数時間。
さらに、ちょっと洒落っ氣を出してウッドビーズなんて着けてみたりして。
はい、できあがり。